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:: 教訓 :: 出発の準備をするメンバーたちの中でピリピリとした空気が漂っている。 というのも、フェイトの機嫌がかなり悪いからである。 ボスッっと音を立てながら自分の荷物を整理するフェイトに 機嫌の悪い理由を聞くことの出来ない…いや、 聞こうとはしたのだが、不機嫌ですというオーラーに 阻まれて挫折したメンバーたちであった。 「出発出来るかい?なんだったらもう1日ここで休んでいくことも可能だけど。」 「いえ、大丈夫です。早く次の目的地まで行かないと。時間はないですから。」 「そう。それなら良いんだけどね。」 それじゃあ、行こうかというネルの言葉を合図にメンバーたちは歩き出した。 街以外ではモンスターが出るのはどこも同じらしい。 いつも通り、自分たちの進路を邪魔するモンスターたちを 倒しながら進んでいくのだが… 今日はフェイトの様子がおかしかった…。 「邪魔なんだよ!」 モンスターに切り付けながらのフェイトの台詞である。 普段温厚な分、この台詞は皆驚くばかりで…。 そして…。 「楽しかったよ。」 スラリと剣を振り、にこやかにそんな台詞を口にするフェイトの姿に 恐ろしいものを感じるメンバーたちであった。 (ちょっと…クリフ。あんた一体何をしたんだい?) (何もしてねぇよ。昨日も普段通りだったしな。) (じゃあ、何故フェイトがあんなに不機嫌なのかしら? あなたしか原因が考えられないのよね。) (おいおい…) 歩きながらこそこそと相談をし合うものの、解決策が見つからない。 「とりあえずクリフ…フェイトの機嫌を治すために行ってきてちょうだい。 私たちはしばらくの間調査も兼ねて辺りをぶらついてくるから。」 いいわね!と、マリアに念を押され、 やれやれと肩をすくめながらフェイトの側へ近づく。 「どうした、フェイト。何か怒るようなことでもあったのか?」 「別に怒ってなんかないだろ。」 予想通り、フェイトからは否定の言葉が返ってくるが その表情を見るとそれが嘘であろうということが容易に分かる。 「その顔が怒ってない奴の顔か? せっかくの綺麗な額にシワがついちまうぜ。」 そう言いながらおでこに当てようとした手をすぅっと避けられる。 「何でもないって言ってるだろ。」 「何でもないならそんな顔はしないだろ、お前。 そんなんだと他の奴らも心配しちまうだろうが。」 ちょっと不本意そうではあるが、 クリフの言うことが正しいと思ったのであろう。 しぶしぶといった感じは見えるが、質問に答える。 「なんで…………だよ。」 が、肝心なところがクリフには聞こえない。 「なんだ?もう少し大きい声で言ってくれぇと聞こえねぇだろ。ん?」 フェイトだけにしか聞かせない、他のメンバーが聞いたらびっくりしそうな 甘い声音で優しく問い掛ける。 「…お前、昨日の…エッチのとき1回も僕にキスしなかっただろ…」 「は?」 「だから!なんでキスしないんだよ!変なときにはあんなにキスしてくるくせに!」 なんというか、想像していたのとは全く違うフェイトの答えに さすがのクリフも反応が鈍くなってしまう。 毎日エッチするな!と怒られることも覚悟していたというのに…。 全く可愛いこと言ってくれるじゃねぇか。 思わずにやけてしまいそうになる顔をどうにか抑えるが、 嬉しそうな声は隠し切れないようである。 「悪かったな。それであんなに怒ってたわけか。」 「べ、別にそれだけに怒ってるわけじゃないからな!」 他にもいろいろあるんだぞ!と口では言いながらも、 そのいろいろというのが思いつかないらしい。 そんな恋人の拗ねて駄々を捏ねるような可愛い様子に、 普段正常に働いているはずのクリフの理性がぷつりと切れてしまう。 フェイトの身体を強引に木に押し付け、その柔らかな唇を奪う。 「んん…!…ちょっと待て! こんなことしてる場合じゃないだろ!皆もいるんだぞ!!」 「他の奴らだったらいねぇよ。 俺たちが仲直りするように言ってきたのもあいつらだしな。」 「だからって、こんなところでしなくても…。」 周りは木々がたくさん生えているとはいえ、誰に見られてもおかしくはない所である。 いつマリアたちが帰ってこないとも限らない。 自分より自分の身体のことを知っている手をどうにか止めようとするが、 力ではクリフに勝てたことのないフェイトである。 わたわたとしている間に身に付けているものを脱がされていく。 「や、やっぱり止め…ん…。」 クリフの巧みなキスと愛撫に翻弄されながらも、 羞恥心が勝るのであろう…最後の理性を保とうと必死に抵抗する。 しかし… 「お前があんまりにも可愛いことをいうもんだから、 俺がしたくなっちまったんだ。」 いいだろ、フェイト。 耳元に低い声で囁かれると、抵抗する手から力が抜けてしまう。 「…あ…んん。」 「いい子だ…。」 そんなフェイトの様子をクリフが見逃すわけもなく、 よりいっそう愛撫の手を伸ばし、快楽へと導いていくのであった。 「仲直りしてくれとは言ったけど、 ここまでしてくれとは言ってはないはずよ。」 ぷりぷりと怒るマリアの視線の先にはクリフとのエッチで足がふらつき、 危なっかしいことこの上ないフェイトの姿が…。 2人の関係を知っているものならば、この状態になった原因が分かるであろう。 「…しょうがないね。もう1度街に戻るよ。 ここからだと次の街へ行くほうが遠いからね。」 ふぅっとため息をつきながら、言うのはネル。 呆れるというより、もう諦めに近いのであろう。 さっさと帰りの道を戻り始める。 (今日はもう禁止ですからね。クリフ。) (なんでだ?) (なんででも!いいわね!) そのあとの戦闘ではあの危険な台詞を口に出すことはなかったが、 ことあるごとに庇いに行くクリフと、ふらつきながらも敵に向かっていくフェイト のいちゃいちゃぶりに疲れきったメンバーたちであった…。 その後、「人の恋路に口出しすると痛い目みるぞ!」 という言葉をクリフとフェイト以外のメンバーが教訓にしたのあった。 初クリフェイSSです。 何故だか戦闘中「邪魔なんだよ!」を連発しまくる フェイトを見ていて思い付いた話だったりします(苦笑) あの台詞、フェイトの顔からは想像出来ないほど凶悪ですよね。 |
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